これまで数千件のゴミ屋敷清掃に携わってきた専門業者の代表にインタビューを行い、年齢層によって異なるゴミ屋敷の特徴と、その背景にある心理について詳しく話を伺いました。代表によれば、ゴミ屋敷には大きく分けて三つの世代的な傾向があるといいます。まず二十代から三十代の層ですが、彼らのゴミ屋敷は「多忙と無関心」の結果であることが多いそうです。部屋の中はコンビニの容器やペットボトル、衣類といった消費財で溢れていますが、そこに執着はなく、一度清掃の決心がつくと作業は非常にスムーズに進みます。彼らはデジタルネイティブ世代であり、ネット予約で淡々と片付けを依頼する傾向にあります。次に、四十代から五十代のミドル世代。この層は最も根が深く、仕事の挫折や離婚といった人生の大きな転換期に心を病み、ゴミの中に引きこもってしまうケースが目立ちます。趣味の道具や雑誌などが山積みになっており、物に対して一定のプライドを持っているため、作業員に対しても警戒心が強いのが特徴です。そして六十代以上の高齢世代。ここでの最大の問題は、ゴミをゴミと認識できない、あるいは「もったいない」という強固な価値観です。彼らにとって、家にあるものはすべて人生の断片であり、それを捨てることは自分自身を否定されることに等しいのです。そのため、この世代の清掃には、心理カウンセリングに近いコミュニケーション能力が求められると代表は語ります。どの世代にも共通しているのは、ゴミ屋敷化が始まったきっかけに必ずと言っていいほど「孤独」があるという点です。年齢が上がるにつれてその孤独は深刻化し、自力で脱出する気力すら奪っていきます。代表が最も強調していたのは、ゴミ屋敷は決して性格がだらしないからなるものではなく、誰の人生にも起こりうる「心の不調のサイン」であるということです。清掃業者の役割は、ゴミを運ぶことだけではなく、依頼者が再び人間らしい生活のスタートラインに立てるよう、空間を浄化し、心に風を通すことにあるのだと、現場のプロとしての誇りを滲ませながら話してくれました。