これまで数多くの現場を見てきた清掃のプロフェッショナルによれば、汚部屋の片付けを最短時間で完了させるために最も重要なのは、事前の準備と作業の順番の徹底である。多くの素人が失敗する原因は、目についた場所から行き当たりばったりに手を付けてしまうことにある。効率を極限まで追求するならば、まずは「明らかなゴミ」の回収から始めるべきである。コンビニの袋、空のペットボトル、期限切れのチラシなど、判断を必要としない不要物を先に一掃することで、部屋の中に作業スペースを確保することができる。スプロの現場では、まず玄関から奥の部屋へ向かう動線を確保し、ゴミを搬出する経路を真っ先に作り上げる。次に、床が見えるようになった段階で、衣類、本、書類といったカテゴリーごとに物を集約していく。この際、一点一点を吟味するのではなく、まずは山を崩してざっくりと分類するスピード感が求められる。汚部屋の住人が最も時間を取られるのは、思い出の品や写真、手紙が出てきた時に手が止まってしまうことだ。プロのアドバイスとしては、こうした情緒的な価値のある物は最後の一押しに残しておき、まずは生活に直結する不要物の処理に全神経を集中させるべきだという。また、作業時間を短縮するためには、道具の選択も侮れない。自治体指定のゴミ袋は最大サイズを用意し、破れにくい厚手のものを選ぶこと。さらに、ダンボールを解体するためのカッターや、細かい埃を吸い込む強力な掃除機を事前にメンテナンスしておくことで、作業の中断を防ぐことができる。自分で片付ける場合に陥りやすい「休憩のしすぎ」を防ぐためには、音楽をかけるのではなく、ラジオやポッドキャストなど、時間の経過が実感しやすい音声コンテンツを流すことも有効だ。プロの手を借りずに自力でやり遂げるには、自分自身を指揮官と作業員の二役に分け、冷徹なまでに計画に従って体を動かすというマインドセットが、時間短縮の最大の武器となるのである。