長年、福祉の現場でゴミ屋敷問題に関わってきた社会福祉士として、私が最も大切にしているのは、対象者との信頼関係を基盤とした「寄り添い型のモニタリング」です。ゴミ屋敷の住人の多くは、過去に深い心の傷を負っていたり、社会からの冷たい視線に晒され、強い自己防衛本能を持っています。彼らにとって、他人が家の中を覗き見るモニタリングは、当初は攻撃的な介入として受け取られます。だからこそ、私たちは最初、ゴミの話を一切しません。玄関先での立ち話から始め、今日の天気や体調、好きな食べ物の話といった、何気ないコミュニケーションを数ヶ月、時には一年以上繰り返します。これが、私たちのモニタリングの第一歩です。相手の表情の微妙な変化、声のトーン、身なりを観察し、心の状態を測る。そして、「この人は自分を否定しない」という信頼を得て初めて、部屋の状況についての対話が可能になります。私たちのモニタリング術は、指示を与えるのではなく、一緒に考えることです。「ゴミが増えて困っていますね」ではなく、「これ、捨てるのが大変そうですね。少し手伝いましょうか」と、共感をベースにした提案を行います。モニタリングの頻度も、本人のストレスにならないよう慎重に調整します。あるときは、週に一度の短い訪問。あるときは、数分間の電話。大切なのは、本人が「見守られているけれど、支配されていない」と感じることです。ゴミ屋敷モニタリングの真の目的は、部屋を綺麗にすること自体ではなく、本人が自分の生活をコントロールする力を取り戻すのを助けることにあります。私たちがモニタリングを通じて見ているのは、ゴミの量ではなく、その人の尊厳の回復具合です。一度片付いた後も、私たちは決して手を離しません。生活の変化、例えば大切なペットの死や病気といったことが、リバウンドの引き金になることを知っているからです。そうした人生の節目に寄り添い続けることこそが、最も実効性のあるゴミ屋敷モニタリングであると確信しています。福祉のプロとしてのモニタリングは、冷たいデータの集積ではなく、温かい眼差しによる「伴走」なのです。この寄り添いがあるからこそ、人は再び前を向いて歩き出すことができるのです。
社会福祉士が語る寄り添い型のモニタリング術