ゴミ屋敷の片付けを進める中で物が減っていく爽快感と空間が広がっていく解放感から気分が高揚し、一種の「断捨離ハイ」とも言える状態になることがあります。この勢いに乗って次々と物を捨てていくことは片付けを加速させる上で非常に効果的です。しかしこの高揚感に任せて判断が雑になってしまうと後になって「なぜあんなに大切な物を捨ててしまったんだ」という取り返しのつかない後悔に苛まれることになりかねません。断捨離ハイの時こそ冷静さを失わず慎重な判断を心がける必要があります。後悔しないために特に注意すべきは「思い出の品」の扱いです。写真、手紙、子供の作品、あるいは今はもう使わない趣味の道具。これらの物は実用的な価値はなくてもあなたの人生のかけがえのない一部です。断捨離ハイの勢いで「こんな古い物もういらない!」とあっさり捨ててしまうと後日落ち着いた時にその物を手放したことで大切な記憶まで失ってしまったかのような深い喪失感に襲われることがあります。こうした「思い出の品」については即断即決を避け「保留ボックス」を設けるのが賢明です。判断に迷う物は一旦この箱に入れ全ての片付けが終わった後、時間と心に余裕ができた時に改めて一つ一つとじっくり向き合う時間を作りましょう。その時には断捨離ハイも落ち着きより冷静な目で自分にとっての本当の価値を見極めることができるはずです。また「重要書類」を誤って捨ててしまわないよう細心の注意が必要です。契約書、保険証券、年金手帳、不動産の権利証などは他の紙類と紛れてしまいがちです。書類の山を片付ける際は必ず一枚一枚中身を確認する手間を惜しまないでください。断捨離は未来の快適な生活のための前向きな行為です。しかしその過程で過去の大切な自分まで捨ててしまっては元も子もありません。高揚感の中でも一呼吸置き自分の心に問いかける。その小さな冷静さがあなたを未来の後悔から守ってくれるのです。