離婚の際、住宅ローンが残っているなどの理由で、かつての夫婦の共同名義や、どちらか一方の名義のまま、一方が住み続けるという形をとるケースは少なくありません。しかし、その後に住んでいる元配偶者がゴミ屋敷を作ってしまった場合、名義をそのままにしていた側にとって、それは逃げ場のない罠となります。数年、あるいは数十年ぶりに元夫や元妻から連絡があったと思えば、それが自治体や弁護士からの「あなたの名義の建物がゴミ屋敷化しており、火災の危険があるため直ちに是正せよ」という通知であることも珍しくありません。離婚後、相手と関わりたくない一心で名義の問題を先送りにした結果、かつてのマイホームが周囲に迷惑を撒き散らすゴミの城となり、その責任だけが法的な「名義人」という絆によって強制的に呼び戻されるのです。ゴミ屋敷における名義人の責任は、そこに住んでいるかどうかを問いません。不動産の所有者としての「管理責任」は常に名義人に付随します。もし相手がセルフネグレクトに陥り、心身ともに病んでいる場合、名義人は自分の費用で業者を雇い、他人の、それも憎しみを持って別れた相手のゴミを片付けなければならないという屈辱的な状況に追い込まれます。さらに深刻なのは、名義人が片付けようとしても、居住している元配偶者が「これはゴミではない」と主張して立ち入りを拒んだ場合です。名義があっても、居住権を盾にされた場合、強引な立ち入りは住居侵入罪に問われる恐れがあり、法的な手続き(明け渡し訴訟など)を別途踏まなければならないという、さらなる時間と費用の浪費を強いられます。離婚時の不動産の処理は、感情的な問題以上に、将来のゴミ屋敷化リスクを含めた「負の管理責任の切り離し」として捉えるべきです。もし名義変更が困難なのであれば、定期的な訪問確認を契約に盛り込むか、あるいは資産を売却して完全に清算することこそが、ゴミ屋敷という最悪の未来から自分を守るための、かつての伴侶に対する最後の、そして最大の決別なのです。
離婚後の名義変更を放置したゴミ屋敷の悲劇